いじめの「重大事態」とは
大きな被害が生じた疑い、または長期欠席を余儀なくされた疑いがあるとき、学校や設置者には調査が求められます
重大事態には2つの類型があります
いじめ防止対策推進法第28条は、次のいずれかに当たる疑いがある場合を「重大事態」としています。学校がいじめを認めた後だけに使う制度ではなく、被害が生じた疑いの段階から検討されるものです。
- 生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑い
自傷行為、心身の不調、医療機関の受診、重大なけが、高額な金銭や物品の被害などが考えられます。被害の程度は、本人と保護者の受け止めも踏まえて個別に判断されます。 - 相当の期間、学校を欠席せざるを得ない疑い
年間30日の欠席が一つの目安ですが、連続欠席が続き、その原因としていじめが考えられる場合は、30日に達する前から対応が必要とされています。
「30日休まないと重大事態にならない」は誤りです
文部科学省の2024年改訂ガイドラインは、一定期間の連続欠席でいじめが原因と考えられるとき、30日に達する前から学校と設置者が情報共有し、丁寧に判断するよう求めています。
文部科学省の2024年改訂ガイドラインは、一定期間の連続欠席でいじめが原因と考えられるとき、30日に達する前から学校と設置者が情報共有し、丁寧に判断するよう求めています。
保護者や本人から申立てがあったとき
改訂ガイドラインでは、児童生徒や保護者から「重大事態ではないか」と申立てがあった場合、学校や設置者は重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たるとされています。学校側がその時点でいじめの事実を確認できていなくても、申立てを無視してよいという意味ではありません。
口頭だけでは、伝えた内容と学校の理解にずれが生じることがあります。次の項目を一枚にまとめ、学校長と学校のいじめ対策組織、必要に応じて教育委員会などの設置者へ提出します。
件名:いじめの重大事態に関する申立て
児童生徒名・学年:
保護者名・連絡先:
1. 起きたこと(日時、場所、相手、内容)
2. 現在の被害(心身、欠席、けが、金銭・物品など)
3. いじめとの関係が疑われる理由
4. 学校へすでに相談した日と回答
5. 求めること
・重大事態としての報告と調査
・当面の安全確保
・担当者と今後の連絡方法
・受領日と回答予定日の提示
添付資料:時系列表、画面保存、受診記録、写真、学校との連絡記録など
※これは申立てを整理するための一般的な例です。個別の法的判断や文書作成が必要な場合は弁護士等へ相談してください。
調査で確認したいこと
- 誰が調査主体になるか
学校か、教育委員会などの学校設置者かを確認します。 - 調査組織の構成
第三者を入れる場合、専門性と利害関係の有無を確認します。 - 調査する事実と期間
いつからいつまでの、どの行為や学校対応を調べるのかを文書で共有します。 - 本人への聞き取り方法
繰り返し話させる負担、加害側との接触、プライバシーへの配慮を確認します。 - 経過説明と結果の提供
調査中の連絡頻度、結果の説明方法、資料提供の範囲を確認します。
重大事態調査の目的は、責任追及だけではなく、事実関係を明らかにして被害への対処と再発防止につなげることです。ただし、調査が始まったからといって日々の安全確保を後回しにしてはいけません。座席・学級・登下校・部活動・オンライン上の接触など、当面の具体策も同時に求めます。
学校が受け付けない、説明が曖昧な場合
- 申立書を学校長宛てに提出し、受領日が分かる控えを残す
- 公立校は教育委員会、私立校は都道府県等の私学担当部局、国立校は設置法人へ確認する
- 回答内容、担当者、日時をその都度記録する
- 暴力・脅迫・恐喝など犯罪に当たり得る行為は、学校の判断を待たず警察へ相談する
- 手続や説明に納得できない場合は、法務局、人権相談、弁護士等の外部相談を検討する
「重大事態かどうか」の議論だけに時間を使うより、現在の危険、欠席、心身の状態、学校へ求める行動を具体的に伝えることが重要です。
よくある誤解
学校がいじめを認めていないと申立てできない?
申立ては可能です。学校が把握していない家庭での変化や受診、欠席の状況は、重大事態を把握する重要な端緒になり得ます。
申立ては可能です。学校が把握していない家庭での変化や受診、欠席の状況は、重大事態を把握する重要な端緒になり得ます。
転校や卒業をしたら調査されない?
転校・卒業後でも調査が必要になる場合があります。ただし時間がたつほど記録や記憶の確保が難しくなるため、資料は早めに整理します。
転校・卒業後でも調査が必要になる場合があります。ただし時間がたつほど記録や記憶の確保が難しくなるため、資料は早めに整理します。
重大事態調査が始まれば警察相談は不要?
別の手続です。犯罪行為として扱うべき暴力、恐喝、脅迫などがある場合は、緊急性に応じて110番、最寄りの警察署、#9110、少年相談窓口を利用します。
別の手続です。犯罪行為として扱うべき暴力、恐喝、脅迫などがある場合は、緊急性に応じて110番、最寄りの警察署、#9110、少年相談窓口を利用します。
確認した公的情報
- e-Gov法令検索「いじめ防止対策推進法」
- 文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの改訂について」
- 文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(令和6年8月改訂)」
- 警察庁「都道府県警察の少年相談窓口」
公的情報の最終確認:2026年8月24日 ※一般的な情報です。個別の法的判断は弁護士等の専門家へ相談してください。


コメント